番外編 続き
よく、お母さんの話をしてくれていたので、
「お母さんに会うのが楽しみ。」と言うと。
「マムは、英語しゃべれないのよ。」と。
彼女は、イギリス生まれのイギリス育ちだが、ご両親はインドのご出身で、
お父様は、すでに亡くなり、今はお母さんと2人暮らしだ。
家庭での会話は、パンジャビ語(インド北部の言葉だったと思うが)なのだそうだ。
まあ、こちらも片言の英語なのだからちょうどいいではないか。
サリーを身にまとったお母さんは、やさしい笑顔で迎えてくださった。
(右から、お母さんと近所のお友達)
小さいながらも、よく手入れの行き届いた庭を眺めながら飲んだ、お母さんの入れて下さった紅茶はとてもおいしく感じた。
たとえそれが、ティーパックの紅茶でも(笑)
(ラベンダーがきれい)
別れの日、お母さんは微笑みながら、私たちにお金を差し出した。
もちろん固辞したのだが、どうしてもということだったので、結局ありがたく頂いてしまった。
社会人になって以来、おこずかいをもらう事なんてたぶん初めてだったので、
びっくりで、かつ、とってもうれしかった。
おととしのクリスマス、毎年届く彼女からのクリスマスカードが来ず、
気にはなっていたものの、忙しいのだろうと思っていた。
年が明けて届いたメールには、
「去年、母が亡くなったのでカード出せなかった。ごめんなさい。」とあった。
遺灰を持って、インドのお母さんの故郷へ行くとも書かれていた。
私にとって、たった数日を一緒に過ごしただけの人であったが、あのにじみ出るような優しさを忘れることはないだろう。
一人になった彼女の事が心配だったが、今、相変わらずあちこち旅行しているぐらいだから、
元気なんだろう。
ハガキの最後は、「会いたいな~。もうすぐ、日本に行くからね~!」と結ばれていた。
え~、ホントに!今から、彼女との再会がとても楽しみだ。
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