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お幸せに

2009年10月18日






夕べ、そろそろ眠りに就こうかという頃、携帯に電話が入った。
老眼というものを、認めざる得なくなった今日この頃、暗がりでは、携帯の文字もかなり見えにくくなっているのだが、なんとか見えた発信先には、福岡に住む友人の名前があった。



彼女と初めて会ったのは、私が福岡のある会社で派遣として働いていた時に、彼女が新入社員として入ってきた時だった。18歳の彼女は、新人類と呼ばれた世代よりまだずっと若く、私には、その言動は宇宙人のようにさえ感じた。

その長い爪で、よくボールペン持ったり、電卓打ったりできるよねと感心したりしたものだ。

でも、なぜかそのさばさばとした性格や気を使わなくていい所が心地よかったのか、私が会社を移ってからも、彼女との付き合いは続いていた。

私の結婚式にも出席してくれ、すぐに会社の同僚3人で馬見原まで遊びに来てくれた。

しかし、その後、彼女からは年賀状も、電話も来ることもなく、私も気になりつつも、その後生まれた3人の息子たちの世話に追われ、久しぶりに電話があった時には、いつの間にやら10年の月日が経っていた。

「ねえ~、週末遊びに行ってもいい?」
そしてやってきた彼女を見て、驚いた。

すっごく、肥っていたのだ!!一見して彼女とわからないぐらい!

一部上場の会社をさっさと辞め、今はパチンコ屋さんの社長秘書をしていると言った。
そして居心地が良かったのか、3泊程して福岡に帰って行った。

それから、数年後の彼女からの電話の内容は
「私、痩せたけん。もとに戻ったよ。」
あっそう、よかったじゃん。早くいい人見つけて結婚しないね、てな事を話したような気がする。

次に連絡があったのは、4年前。
「わたし、子供産んだけん。」

    「はっ?いつ結婚したと?」

「結婚はしとらんよ。向こうがせん、ていいしゃっけん。でも私も、病気もあるし年も年だけん、これが子供産む最後のチャンスかもしれんと思って、一人でも産むって決めたと。」

思えば、18歳だった彼女もいつしか、30代半ばを迎えていた。
私は、あっけらかんとシングルマザーとして子供を育てていく決心をしたと話す彼女に、ただ「頑張って」としか言えなかった。

そのあと、福岡で会った彼女は子供は連れていなかったが、母親の顔になっていた。
一応母親として先輩の私は
「携帯メール打ちながらとか、授乳してないやろうね。」
とか、「小さいうちから、絵本いっぱい読んでやらなんよ。」などとアドバイスをしつつも、
なんだかたくましくなった彼女を見つめてた。
もちろん、生まれた姫の父親の事も気になっていて色々聞いたところ、姫には会いに来ているとのことだったので少し安心した。

「もう少し、姫が大きくなったら、遊びに行くけん。自然の中で遊ばせてやりたいけんね。」
と別れ際に彼女が言った。



そして、昨夜の久しぶりの電話に、遊びに行くからとの連絡かと思いながら雑談していると、
「私、今月結婚したと。」

  「だ、だれと?!」

「姫のパパとよ。やっと籍入れた。」

最近では、ほとんど一緒に住んでいたそうなのだが、籍を入れてくれないって言うことは、私になんか悪い所があるんやろうな~と思っていたと話してくれた。

「たった一枚の紙きれの事だけで、な~んも変わらんとよ。」と平静を装っているが
ちょっと、はみかみながら「もう一人子供を産みたいんよね。」と話す
彼女の声には喜びがあふれているような気がした。

いつも、さばさばあっけらかんとして明るく話す彼女だったが、その心の中には、不安や寂しさが詰まっていることを、なんとなく感じていた私には余計にそう感じられたのかもしれない。

彼女からの電話にはいつも、驚かされることばかりだが

「とにかく、おめでとう!!
色々あったけど、これから平凡でも穏やかで幸せな人生を送ってね。
3人、いや4人でまた馬見原にも遊びにきてね。いつでも、待ってるよ。」


最後にひとつ聞きたいことがあった。
「ところで、今肥ってんの?痩せてんの?」
帰って来た答えは、微妙だった。今度会うのが楽しみだ。



  


Posted by 梅子 at 11:15Comments(4)日記